お正月といえばお年玉、帰郷してきたお孫さんに沢山お年玉をあげた方も多いのでは?
ところで、お年玉に贈与税はかかるのでしょうか?
「そんなバカな!?」そうですね、通常お年玉に贈与税がかかることはありません。そもそも一年間に110万円までの受贈益は贈与税の基礎控除の範囲内ですので、心配はありません。一年間に110万円を超えるお年玉をもらう人は少ないでしょう。
では毎年110万円の現金贈与を受けている人が更にお年玉をもらったらどうなるのか?
これは少し微妙な問題になってきます。
そのお年玉ですぐに本や生活用品などを買えば問題なし。
ところがそれを全部貯金していたら贈与税がかかる可能性があります。
「貯金すると贈与税の対象で使ってしまえば問題なし?」
これは、子や孫が親や祖父母から金品を受け取った場合は原則として贈与税の課税対象となる一方で、生活費や教育費に充てるために渡すお金は贈与税がかからないことになっていることが原因です。
何だか複雑ですが生活費や教育費に充てるために必要な都度渡すお金は贈与税の対象にならないという点がポイントです。
昨年12月に国税庁が「生活費や教育費の贈与に関するQ&A」を発表しましたのでその内容を私なりの解釈を添えてご紹介致します。
①数年間分の生活費や教育費をまとめて渡すのは問題
贈与税は暦年で計算します。まとめて渡した年に使いきれずに預金となっている分については贈与税の対象になることも…。
②結婚に際し、親からもらったお金を貯金してしまうと贈与税の対象に!
結婚するときに親がまとまったお金を出してくれることはよくありますよね。贈与税の対象にならないのは結婚式や家具、家電購入のために使い切ってしまった場合のみ。
そしていくら使い切ったといっても、不動産や株式の購入に充てた場合は贈与税の対象になってしまいますので要注意です。
③出産費用も出してもらって大丈夫
出産に係る入院費、検査代や赤ちゃんのベビー用品なども「生活費」となり贈与税の対象にはなりません。また出産祝いも社会通念上の相当額であれば問題ありません。
④その都度贈与は人気の孫贈与よりも使い勝手が良い?
昨年4月から3年間の期間限定で施行されている教育資金一括贈与の非課税制度(要件を満たせば1,500万円までが非課税)を利用した教育資金贈与信託は、開始からわずか半年で2,600億円を超えるお金が集まったという人気ぶりですが、使い道の制約があり、例えば下宿代や留学のための渡航費や滞在費などはほとんどが対象外です。ですがそのその都度の贈与であれば基本的に非課税となります。
親や祖父母が子や孫のためにお金を出してあげたいというのは当然の気持ちですが、場合によっては贈与税の対象となることに注意しましょう。
また、生活費の贈与がいくらまでなら認められるのかといった具体的な金額は示されておらず、あくまで個々の事情により判断しなくてはならない点も悩みどころですね。
判断に悩む場や前述の教育資金贈与を検討中の方は、ぜひそのメリットとデメリットを専門家に確認してみましょう。